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先日付振込と仮差押の効力


最判平成18年7月20日 判時1947-58

<事案>
1 Y、銀行とオンラインシステム利用契約締結
2 Yの従業員A、平成13年12月31日限り、Yを退職
3 Y、銀行に対し、平成13年12月26日、Aの退職金についてオンラインシステムにより振込送金予約(送金日は同年12月28日)。
4 Aの債権者である原告は、AのYに対する給与債権等に対し、仮差押命令の申立をなし、同月26日発令、27日、Yの守衛所に午前11時に送達。なお、同日はXの年内最終営業日であり、終業予定時刻は午後0時15分であった。

<判旨>
「取引銀行に対して先日付振込の依頼をした後にその振込みにかかる債権について仮差押命令の送達を受けた第三債務者は、振込依頼を撤回して債務者の預金口座に振込入金されるのを止めることができる限り、弁済をするかどうかについての決定権を依然として有するというべきであり、取引銀行に対して先日付振込を依頼したというだけでは、仮差押命令の弁済禁止の効力を免れることはできない。・・・上記第三債務者は、原則として、仮差押命令の送達後にされた債務者の預金口座への振込を以て仮差押債権者に対抗することはできないというべきであり、上記送達を受けた時点において、その第三債務者に人的または時間的余裕がなく、振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がある場合に限り、上記振込みによる弁済を仮差押債権者に対抗することができるにすぎないと解するのが相当である。」

<コメント>
本件は高裁に差し戻されたわけですが、事案の4に摘示した事実が上記「特段の事情」に該当しないとなると第三債務者としてはなかなか大変だなと思われます。

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