2人以上のチームで相談
Q 事務所の業務方針として2人以上の弁護士でチームを組み、案件を担当するとのことですが、なぜですか?
A
複数の弁護士が担当した方があらゆる点においてより良い解決に役立つからです。
(1)事件の初期段階
的確な事件処理をするためには、
A ご依頼者から事実を漏れなく、正確に伺うこと
B 的確に法律構成を行うこと
が必要です。
まず、Aですが、ご依頼者自ら法的に重要な事実を漏れなく、お話しいただけることはありません(このこと自体はご依頼者の責任ではないことはもとよりです。)。すなわち、ご依頼者から法的に重要な事実を漏れなく、正確に伺うには、単にご依頼者の話を表面的に受け止めるのでは足りません。「ご依頼者が話されている内容からすれば、通常、こういう事実が付随しているはずだ」というある種の経験則を豊富に持ち、ご依頼者から事情を伺いながらそれを確認し、ご依頼者から重要な情報を引き出すことが必要です。この点、複数の弁護士で伺えば、やはり経験則が2人分以上になるので聞き漏れが1人よりも少ないです。また、後述する証人尋問とも共通しますが、つっこみの甘さを自分で正すことは困難ですが、他人の甘さを正すのは容易です。二人で聞けば一方が聞き漏らしたことを他方が拾ってくることが可能になります。
次にBですが、単純な事件はともかく、複雑な事件では多様な法律構成が考えられる場合があります。「三人寄れば文殊の知恵」ではありませんが、やはり複数で検討した方が1人でやるよりも多くの法律構成を創出することができます。また、自分のアイデアを自ら批判的に検討することは困難ですが、他人の出したアイデアを批判的に検討することは容易です。思いついた法律構成の批判的検討には複数弁護士が関与する方が圧倒的に有利です。
(2)書面の検討
書面についても同じことがいえます。上述したとおり他人のアイデアを批判的に検討するのは容易ですが、自らのアイデアを批判的に検討することは困難です。一人の弁護士の場合よりも複数の弁護士の方が書面が十分に検討しやすいと思います。
また、誤字脱字という低レベルの事項であっても複数の弁護士が関与した方がよいことは自明です。
(3)証人尋問
証人尋問においては複数弁護士が関与した方が明らかに有利です。例えば、一方が尋問している最中に他方は裁判官や相手方の反応をみたり、現在尋問をしている弁護士の聞き漏れがないか、補充尋問をするべきではないかが、チェックできますし、聞き漏れがある場合には先に尋問した者に代わって尋問をすることができます。複数の証人を集中的に尋問することも通常のことですが、一人で複数の証人を尋問することは相当疲れます。疲れることは人間ですから仕方がありませんが、パフォーマンスが落ちることは避けられません。これに対し、複数の弁護士で尋問すれば負担は半分以下になり、よりよいパフォーマンスが実現できます。
そして尋問に際しては主尋問(証人申請をした当事者による尋問)、反対尋問(反対当事者による尋問)とも事前に十分にトレーニングをする必要がありますが、本番の尋問を複数の弁護士によって行った方がよいのと全く同じ理由によって複数弁護士によるトレーニングの方が効果的であることは明白です。
以上の次第で、当事務所においては原則として1つの案件を2人以上の弁護士で担当しております。