最高裁 平成20年2月29日(判例タイムズ1267号161頁)
【事案】
・一定期間経過後は純賃料額を一定の金額に自動的に増額する旨の賃料自動増額特約あり。
・原審は、自動増額特約によって増額された純賃料を基にして、同日以降の経済事情の変動等を考慮してその当否を判断。
・賃借人が上告。
【判旨】
・借地借家法32条1項の規定は、強行法規であり、賃料自動改定特約によってその適用を排除することはできない。
・同項の規定に基づく賃料減額請求の当否及び相当賃料額を判断するに当たっては、賃貸借契約の当事者が現実に合意した賃料のうち直近のものを基にして、同賃料が合意された日以降の同項所定の経済事情の変動等のほか、諸般の事情を総合的に考慮すべきであり、賃料自動改定特約が存在したとしても、上記判断に当たっては、同特約に拘束されることはなく、上記諸般の事情の一つとして、同特約の存在や、同特約が定められるに至った経緯等が考慮の対象となるにすぎないというべきである。
【コメント】
賃料の増減額請求の当否の判断においては、当事者の最終合意時点の賃料を基準にすることになりますが、本判例は、賃料の自動増額特約がある場合における最終合意時点は特約による増額時点ではなく、現実に合意した時点であることを明確にしました。