最高裁 平成16年11月8日(判例タイムズ1173号192頁)
【事案】
○賃借人が賃貸人の所有する建物を第三者に転貸する目的で一括借り上げ
○賃料額をそれぞれ5%増額し、以後2年を経過するごとにそれぞれ5%増額する旨の特約。
○賃借人が賃貸人に対し、借地借家法32条1項の規定に基づき、減額請求。
○原審:賃借人の請求を全部棄却
・本件契約は建物賃貸借契約の性質を有することは否定できないが、通常の賃貸借契約と異なり、共同事業契約の性質を有するものであって、借地借家法が当然に全面的に適用されると解するのは相当ではなく、本件契約の性質、契約内容等に反しない限度においてのみ、その適用があると解するのが相当
・本件契約においては、賃料不減額の特約が定められているものというべきであるが、このような賃借人の賃料減額請求権を制限し、賃借人に一方的に不利益を課する約定は、通常の場合には、借地借家法32条の法意に反し無効と解するのが相当である。しかし、本件においては、賃料不減額の特約が本件契約の不可欠な本質的部分であり、賃貸人にとっては絶対的な条件であること、本件契約が共同事業契約の性質を有し、単なる建物賃貸借契約とは性質を異にするものであること等に照らすと、本件契約の賃料不減額の特約を同条の注意に反し無効であるとはいえないから、同条による賃料減額請求権の行使を認めることはできない。
○賃借人、上告
【判旨】
○原審の判断は誤り。
○サブリース契約であっても、賃貸人が賃借人に対して本件各建物部分を賃貸し、賃借人が賃貸人に対してその対価として賃料を支払うというものであり、建物の賃貸借契約であることは明らかであるから、本件契約には借地借家法32条の規定が適用されるべき。
○借地借家法32条1項の規定は、強行法規と解されるから、賃料自動増額特約によってその適用を排除することができない。
○賃借人は、上記規定により、本件各建物部分の賃料の減額を求めることができる。