保険事故における偶発性の主張立証責任

最判 平成18年9月14日 金融・商事判例 1255号28頁

<事案>
・X(上告人)、Y(被上告人、保険会社)とXの店舗内の什器備品等及び休業による損害を保険の目的として加盟店総合保険契約を締結。
・火災事故発生
・X、Yに対し保険金請求
・Y、Xの代表者による放火であり、「偶然な事故」に当たらないと主張し、保険金の支払いを拒絶。

<判旨>
・保険事故の偶発性(保険事故の発生時において保険契約者等の意思に基づかない事故であること)については請求者に主張立証責任はない。

<コメント>
なお、商法629条「損害保険契約ハ当事者ノ一方カ偶然ナル一定ノ事故ニ因リテ生スルコトアルヘキ損害ヲ填補スルコトヲ約シ相手方カ之ニ其報酬ヲ与フルコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス 」における「偶然ナル」とは「保険契約成立時において事故の発生と不発生とが確定していないことをいうとされる。